ADHDは公務員に向いてないって本当?【市役所元職員が結論を出します】

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まず初めに、私自身は元公務員ですが、自身がADHDと診断されたわけではありません。

「それなら話を聞いても参考にならない」とか「当事者の気持ちがわからない人がADHDについて語らないでほしい」と思う人もいるかもしれません。

ただ、私はADHDの方と同じ職場で仕事をしたことがあり、もちろん話を聞く機会もありました。

そこで、一緒に仕事をした市役所職員の目線から、「ADHDの方が公務員に向いていない」というのは本当なのかを、「正直に」お話しさせていただきます。
客観的に、かつ正直に思ったことを話すので、もしかしたら不快に思われる方もいるかもしれません。

しかし、この記事がADHDの方で公務員を検討している方に役立つものになると思ったので、書かせていただきました。


ADHDは公務員に向いてないというよりは、強みは活かしにくい

東京都庁

「ADHDは公務員に向いていない」と言われるのを聞いたことがあります。

そもそも、向き不向きであなたがやりたい仕事を制限されるのは不本意ですよね。

ただ、公務員に限らず、ADHDの方がうまくいかずに退職を選ぶというケースはあるようです。
なので現実的には、向き不向きというのも考えなければいけないことです。
公務員の仕事について詳しく知っている私が、ADHDの方の話を聞いたり、調べた中で正直に言うと、ADHDの方は公務員に向いていないわけではないが「強みは活かしにくい」というのが私の結論です。

(もちろん、問題なく続けられている方もいるので、公務員にならない方が良いというわけでは一切ありません。)
その理由についてお話していきますね。

公務員の評価は減点方式

以下の2人のうち、評価されるのはどちらか。

  • 頭の回転が速く、ユニークな発想ができるが、たまに失敗する人
  • 要領は悪く主体性もないが、最低限言われたことだけミスなくこなす人



民間企業で求められるのはどちらかといえば前者かと思います。。

 

 ただ、公務員ではおそらくは後者なんです。

公務員は「大きな成果」よりも「失敗の少なさ」を重視する印象があります。

そんな中、ADHDかどうかというのは関係なく、もし「気を付けていても失敗してしまうことが多い」方は、公務員としてやっていく中で苦労は多くなるかもしれません。

もちろん、ADHDにも様々なタイプがあり、全員が当てはまるわけではありませんが、「ADHDの強みを活かしにくい仕事」ではあるでしょう。

 

単純作業で、かつ処理すべき書類が多い

公務員の仕事は単純な事務処理作業です。

なので、発想力や決断力が活かされる場面は少ないでしょう。

一つ一つの業務は難しくない分、複数の案件を同時に処理するケースもあります


また、書類も多いので整理整頓をしないと、紛失してしまうケースもあるでしょう。

私自身も、複数の案件を抱えているときに重要な書類をなくし、上司にかなり怒られた経験があります。


仕事自体が単純な公務員にとって、最もやってはいけないミスの一つは「紛失」です。

細かいミスも指摘する人が少なくない

少なくとも私の職場では「そんなの仕事に支障ないのに・・・」ということまで指摘されることが多かったです。

 

おそらく・・・

いわゆるお役所仕事というものは、仕事自体は単純なので、その分細部にまでこだわる方も少なくありません。


それ自体は悪いことではないのですが、それが高じて指摘が多くなったり細かくなるという方も出てくるのかもしれません。

 

細かいミスまで指摘されるのは、ストレスが大きくなりやすいかもしれません。

そんな細かい注意をされても気にしない、良い意味で大雑把な性格の方なら良いんですが、神経質な方はストレスフルな日々になってしまう可能性があります。

 

特に地方公務員は、様々な分野の仕事を行う必要がある

地方公務員は、特定の分野ではなく、様々な分野の仕事に従事します。

いわゆる「ゼネラリスト」ですね。


せっかく仕事を覚え、慣れてきたころには異動があり、また知らない仕事をしなければいけないんです。

中にはあなたに向いている課や業務もあると思いますが、それでも基本的に3年で異動になってしまうわけですね。

なので、向いている仕事にずっと従事することは難しいんです。



ちなみに、国家公務員は「ゼネラリスト」ではなく「スペシャリスト」と言われています。

なので、特定の分野に従事することができます。


コムオ
特に興味関心が強い分野の国家公務員になるのはアリだと思いますよ。
ただ、スペシャリストとは言っても、地方公務員ほどではありませんが業務は多種多様です。

以下のような例もあるので、気を付けてくださいね。

温暖化に興味があり、環境省に入った場合
一口に環境といっても様々なものがあります。
「地球温暖化」に興味があって環境省に入庁したとしても、「廃棄物問題」や「公害」などの担当になる場合もあるわけです。


とはいえ、あなたが環境問題全般に興味があって入ったなら問題ありません。

特定の分野に興味関心がある場合は、地方公務員よりも国家公務員も考えてみても良いかもしれません。

ADHDの方が公務員の仕事をするうえで気を付けるべきこと

仕事でやることリスト

「基本的に強みは活かしにくい」というだけで、ADHDの方で公務員を続けている方もいます。

ここでは、そういった方が職場で心掛けていたことをメインに紹介していきます。

ADHDの方で「公務員になりたい」という志がある方に参考になれば幸いです。


書類の紛失を防ぐために

書類の紛失は、最も避けなくてはならないことです。

なので、整理整頓は苦手な方も、できる限りデスク周りだけはきれいにしておくようにしましょう。

デスクにものが散乱していると、紛失のリスクが高まるだけでなく、集中力もそがれてしまいます。

一つ一つの書類を「あとで片付けよう」と思うのではなく、毎回ファイルに閉じるなどして、置き場所を丁寧に考えることが重要です。

 

仕事の抜け漏れをなくすために

仕事の抜け漏れをなくすための方法は一つだけ。

 「どんなに細かいことでもメモに残しておく」

これだけです。

「これくらいなら後で思い出せるだろう」ということでも、別件を急に振られて忘れてしまう可能性もあります。

チェックリストのような形で、必ずメモに残すようにしましょうね。

 

やるべき仕事を先送りにしないために

「やるべきことを先送りにしてしまい、いつの間にか期限になっていた」ということもありますよね。

期限は守るべきなので、「一つの大きな目標ではなく、細かい目標をいくつも設定する」ようにしましょう。

 

例えば、最終的な提出期限が10日後の業務があった場合・・・

今日中にやるべきことを列挙してスケジュールを立て、5日後までに事前調査を済ませ、7日後には仮の案を上司に見せられるようにする。

こういった形で、一つ一つ段階を踏み、最終的な目標を達成するようにしましょう。

 

ADHDの方は職場にカミングアウトした方が良い?

疑問を持つ女性

ADHDの診断を受けている場合、職場にはカミングアウトしても良いと思います。

もちろん、本人の自由意志なので、抵抗があればカミングアウトしない選択肢もあります。

 

ADHDの方と一緒に働いていた際の私自身もそうでしたが、カミングアウトしてもらえれば、周りはあなたが苦手な業務よりも得意な業務を優先的に振るようになり、仕事のしやすい環境になります。

また、あなたが「こういったミスをしやすい」というのを事前に伝えておけば、そのケアも行い、ミスを防ぐこともできます。

「どうしても言いたくない」というなら全然OKですが、もし抵抗がないのであればカミングアウトすることをおすすめします。

 

国家公務員・地方公務員の障がい者枠でのADHDの方の採用について

ひらめき

国家公務員・地方公務員ともに、以前は身体の方に障がいを抱える方を主に採用してきました。

ただ、近年は精神の障がいを抱える方も対象としており、門戸は広がっていると言えます。

国家公務員の障がい者枠採用

国家公務員では、障がい者枠での採用を行っています。

 近年、中央省庁では精神障がいを持つ方の雇用が急速に進んでいます。

発達障害を抱える方にとっても、有力な受験先の一つとなっているようです。

簡単な試験ではないですが、「ADHDの方で国家公務員を目指したい」という方には今後選択肢の一つになりえるかもしれません。

 

地方公務員(市役所)の障がい者枠採用

また、近年は国家公務員だけでなく、全国の市役所でも精神に障がいを抱える方の採用が広まりつつあります。

2020年から以下の市役所では、精神障害を抱える方も障がい者枠の試験の受験対象としています。

  • 札幌市役所
  • 新潟市役所
  • さいたま市役所
  • 千葉市役所
  • 横浜市役所
  • 川崎市役所
  • 相模原市役所
  • 静岡市役所
  • 堺市役所
  • 神戸市役所
  • 岡山市役所
  • 広島市役所
  • 北九州市役所
  • 熊本市役所

 

これらのうちほとんどは、2020年からスタートしたものです。


政令指定都市に焦点をあてて列挙しましたが、政令指定都市以外でも、精神に障がいを持つ方を対象としている試験は増えています。

国家公務員・地方公務員関わらず、これからも門戸は広がっていくと言えるでしょう。

 

ADHDの方と公務員のまとめ

いかがだったでしょうか。

とにかく「ADHDの方の助けになるような記事」を意識してこの記事を書きました。

最初にも書いたように、私自身はADHDという診断を受けたわけではありません。

しかし、ADHDの方と同じ職場になった経験から、公務員が「どんな人でも働きやすい職場」になってほしいと思っています。


やはり、ADHDの方は公務員には基本的には強みは活かしにくく、難しい部分はあるかもしれません。

 ただ、仕事を続けている方もいるので、人にもよりますが工夫次第では可能という実例はあります。

なので、もし「公務員になりたい」という夢があるなら、是非諦めずに挑戦してみてほしいと思います。

この記事が、「ADHDと公務員」で悩む皆様のお役に立てれば幸いです。

この記事を読んでわからなかったこと、その他公務員試験に関して、公務員の仕事に関して、なんでも気軽に聞いてくださいね。

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