公務員ラボへようこそ。
論文(教養論文・小論文)は、特別区や都庁、裁判所、地方上級など、様々な公務員試験で実施されています。
そんな論文試験の対策について、意見は2つに分かれている印象です。
②暗記ではなく何度も書く練習をして、オリジナルの答案を作る
これは正直、どちらの主張も間違いではないんです。
私自身も予備校で論文などの講師をやっていますが、正直ここは講師の中でも意見が分かれます。
ただ、結論から言うと、個人的に①のほうが圧倒的におすすめです。
詳しい勉強の進め方は後半で解説しますが、やはり効率を求めると暗記がメインになってきます。
私は現在、公務員試験予備校で論文などの講師をやっており、受験生の答案を添削しています。
目次
公務員試験の論文対策は暗記がベスト?
さて、もう何度も言っていますが、公務員試験の論文は暗記で合格できます。
というより、勉強効率を考えた際に、暗記による対策がベストです。
私がそう感じる根拠を4つに分けて、解説していきます。
①独学でも、論文が苦手でも評価されやすい
「独学とか論文が苦手とか関係なく、評価される書き方ができる」というのは非常に大きいです。
論文には本来、様々なことが要求されます。
- 論理的な文を書く能力
- 社会情勢に精通してること
- 制限時間の中で全体の構成を一から考え、書き上げる能力
- テーマにされた問題の原因や解決策を考える能力
こんな色々な能力が要求される論文、得意な人は少ないと思います。
受験生当時の私は「文系だし、論文は苦手ではないだろ」と思っていたのですが、いざ独学でやってみると、中々良い答案が書けませんでした。
しかし暗記する方法なら、論文が苦手でもある程度安定した得点をとることができます。
まああったほうが有利なのは、暗記力くらいでしょうか。
とはいえ、人文科学や民法などと比べたら、暗記することは圧倒的に少ないので、安心してください。
②コストパフォーマンスが高い
論文を暗記で対策すれば、勉強時間を大幅に短縮できます。
何度も答案を書く必要もなければ、テーマごとに独創性のある内容を自分で考える必要もないので、短期間で攻略できます。
その余った時間を他の苦手科目の勉強にあてれば、全体の得点アップも期待できます。
③暗記による論文対策で多くの合格者を見てきた
私自身もこの方法で、論文の配点が非常に高い特別区を始め、国家一般といった論文試験がある試験に上位合格しました。
これは私の単なる経験談ですが「実際にこの方法で合格している人が多い」ということは、大きな根拠の一つになります。
④オリジナルで書くメリット【独創性?】
「オリジナルの答案を書いた方がいい」という意見もわかりますが、正直説得力のある根拠が少ないと思います。
公務員試験の論文でオリジナルの答案を書くメリットは、一つだけです。
- オリジナル性(独創性)で加点される可能性がある
確かに、もし本当に独創性で加点があれば、論文が得意な方は満点に近い点数も狙えるかもしれません。
採点者も人ですから、採点基準は人によって異なります。
その中で、独創性をそのまま「独走性」と受け取ってもらう自信はありますか?
採点者によっては、「変わったことを書く受験生だな」と思われて終わりかもしれません。
もちろん減点だってあり得ます。
そのあたりの線引きが確実にできる受験生はOKですが、そうでない方はおすすめしません。
独創性が合格に必要なら、リスクをとってでも独創的な答案を書くべきですが、そもそもオリジナル性ゼロの答案でも合格できる試験なんです。
暗記による論文対策【評価される書き方】
では、実際の論文対策と書き方を解説していきます。
暗記だけの対策に少しアレンジを加えているので、純粋な暗記のみではなくなってますが、ご了承ください。
ここでは、以下のことを重視した勉強法を解説していきます。
- 9割~満点は目指さず、7割以上を安定してとる
- 特定の採点者に刺さる内容でなく、万人に評価される書き方
- 独学or論文が苦手でも得点を伸ばせる
- 論文の対策に時間をかけすぎない
「リスクを背負ってでも満点がとりたい」とか、「他の科目は仕上がってるので時間をかけてがっつり対策したい」という方には向いてないかもしれません。
ただ、満点なんて必要ない試験ですし、なにより公務員試験では安定感が重要です。
第一志望の公務員試験は1回きりですからね。
それでは、具体的な論文対策・書き方を解説していきます。
とってもシンプルです。
①論文対策の参考書を選ぶ
いきなり重要です。
暗記でいいとは言っても、暗記する参考書の内容が微妙だったら、採点者も評価してくれません。
そこで、個人的におすすめできる参考書は「公務員試験 寺本康之の小論文バイブル」です。
私も同じ予備校で講師をしている寺本先生、法律で有名ですが実は論文もプロ。
論文の参考書は他に優秀なものもなくはないですが、参考書を1つ選べと言われたら圧倒的にこれです。
理由は以下の通りです。
- 出版日が新しく、さらに旬なテーマをwebで補強
- 独創的すぎず、万人に評価される解答例
- 量は多すぎず、かつ頻出テーマを網羅している
- 苦手な人、独学の人も評価される書き方が身につく
私の方針とぴったり合致するものになっています。
「対策時間は最低限で、万人に評価される回答を書けるようにする」ことがベストというのが結論です。
ということで、基本的には参考書は「公務員試験 寺本康之の小論文バイブル」を使いましょう。
まあ論文の参考書は他にもそこそこ優れたものが一応あるので、既に買ってしまった参考書がある方は一応そちらにしても構いません。
②テーマを1つ選び「要点」を暗記していこう
次に、暗記のステップです。
まずは1つだけテーマを選び、暗記していきましょう。
理由は、無駄に時間がかかる上、丸暗記だと流石に評価も下がる可能性があるからです。
なので、解答の要点だけを暗記していきましょう。
では、要点とは何か?
- 背景
- 課題
- 解決策
- 具体例
この4点を意識して暗記していきましょう。
(背景と課題、解決策と具体例は似てるので、それぞれ一緒にしてもOK)
- 背景
自動車の保有台数や電化製品が増えたことによる、温室効果ガスの増加
- 課題
住民一人一人の温暖化に対する問題意識が依然として低い
- 解決策
・住民が温室効果ガスの削減に主体的に参加できるような仕組みを身近に作る
・太陽光発電やHEMSに対する補助金を設置し、住民への普及・意識改革を図る
- 具体例
例えば新宿区では、「新宿エコ隊」を組織し、区民や事業者と一体となって二酸化炭素の削減に取り組んでいる。
内容は雑ですが、イメージはこんな感じ。
この4点さえあれば独創性はなくても「万人にそこそこ評価される論文」は書けるので、要点に絞って暗記を進めましょう。
③1度答案を書く【書き方をアウトプット】
さて、暗記だけでいいとは言ったんですが、これは必要です。
今要点を暗記したテーマの論文を書いてみましょう。本番だと思って。
「論文は基本的な書き方を学んでからじゃないと!」って思うかもしれませんが、もう構成は出来ているはずですよ。
背景→課題→解決策→具体例
さっき学んだことを、そのまま順番に書いていけば、スタンダードで万人うけする構成の論文が書けます。
やってみてください。
・・・書けましたか?
文字数が足りなかったり、「背景→課題」や「解決策→具体例」のつながりがわからなかったり、中々難しかったと思います。
ここで、模範解答と見比べて「文字数が足りなかったならどの部分の暗記が足りなかったか」、「上手くつなげなかったなら、どうやってつなぐのが正解だったか」をインプットしましょう。
そして、テーマにおいて暗記すべき部分・暗記した内容のつなぎ方がわかれば、もうこっちのものです。
④あとは頻出テーマをひたすら暗記していこう
そして、頻出テーマを先ほどの4つの要点に分けて暗記していきましょう。
暗記の仕方はさっきと同じです。
また、書き方のテンプレートは理解しているはずなので、全て書く必要はありません。
時間がもったいないですからね。
ちなみに、「頻出テーマって何個くらいですか?」という質問があったので答えると、「目安は20個くらい」です。
まあ一応15個くらいでもOKですが、できれば20テーマは欲しいですね。
⑤また2.3回書いてみる
最後のステップです。
最初に書いたテーマとは別のテーマで、論文を書いてみましょう。
なぜ実際に書くのをこのタイミングにしたかと言うと、試験の本番が近づいてるはずだから。
そして、このタイミングでなく初めて書いた答案でもいいですが、書いた答案を最低一回は第三者に見てもらいましょう。
添削を頼むのはやはり予備校の先生など、論文に詳しい人がベストです。
とはいえ、予備校で「論文添削」を単科受講できる所はなく、あったとしても単科はやはり高額なので、独学の人は最悪知人などに頼んでもOKです。
ちなみに、私も予備校とは別でオンラインでの論文添削も受けているので、それはこの後書きますね。
第三者の目で見てもらって、読みにくいところや繋がりが不自然なところを指摘してもらってください。
きっと、自分では気づけない部分があるはずなのでこのステップは重要。
採点者も人ですし、機械的な評価が行われているわけではありません。
なので「第三者目線で違和感がある部分」「繋がりが不自然な部分」、「原稿用紙の使い方」と言った基本的な部分まで指摘を受けましょう。
私が受験生の頃も困惑しましたが、論文は明確に評価基準が公表されてない以上、意見が分かれるのは仕方ないですね。
論文で更に評価される書き方をしたい方へ
ここまで解説してきたのは「万人にそこそこ評価される論文の書き方」でした。
きっとここまでやった方は、「無難な解答は作れるようになった」でしょう。
それ以上の完成度を目指すには、更に時間をかけなければいけないので、基本的にコスパが悪いです。
それでも8割以上とって、周りに差をつけたいという方は、加点される方法の中で、独学でもできる簡単なものを書きましたので、是非実践してみてください。
論文講師が「評価される論文添削」を承ります
- 独学で、論文の添削を頼む当てがない
- 論文が苦手なので、添削だけでなく助言もほしい
- この答案で合格ラインに達しているか、ずばり得点が聞きたい
- 予備校や通信で添削はしてもらってるが、ワンランク上の添削をしてほしい
こういった方向けに、私も論文の添削を受けています。
予備校でお金を払った受講生に指導している以上、こちらも有料にはなってしまうのですが、ご希望の方はTwitterのDMからご連絡ください。
暗記による論文対策・書き方まとめ【公務員試験】
ここまでに説明したように、苦手・独学の人こそ論文は暗記メインで対策するのがベストだと思っています。
皆さんにも実践してもらいたかったので、まず「論文は暗記でいけるんだ」と思ってもらうために、前半部分を書きました。
後半対策については、私が受験生時代に試行錯誤を経てたどり着いた「最も効率が良い論文の対策」を紹介したつもりです。
「完璧な答案を書きたい人」には向いてないかもしれませんが、「最小限の努力で最大限の成果を出したい」という人にはぴったりです。
9割や満点はとれなくとも、安定した得点が取れるというのは、大きな武器になるはずですよ。
この記事が、公務員試験の論文対策で悩む皆様のお役に立てれば幸いです。
以下の参考書は、公務員試験の論文対策に特におすすめで、私も実際に使用して上位合格することができたので、是非試してみてください。
このサイトでは他にも、公務員試験で複数上位合格した現役講師の私が、筆記・面接・論文について解説しています。
公務員試験に必要な情報は全てここに詰まってるので、是非見ていってください。