民法は苦手な方も多いですが、参考書や勉強法に気をつければ、7~8割とるのは難しくありません。
今回は、国家一般や特別区など多くの公務員試験に合格した私が、民法の勉強法についてまとめて解説します!
目次
公務員試験の民法は苦手なら捨てるのもアリ?
公務員試験の民法は、科目としては難しいですが、出題される問題の難易度は意外と高くないんです。
正しい勉強法で一度理解してしまえば、安定して得点できる武器になります。
ただやはり最初のうちは、範囲が広いうえに専門用語が多く、とっつきにくい印象があると思います。
私も「民法がメイン科目なのはわかるけど、どうしても苦手なので捨てても良いですか?」といった質問を受けることはありました。
ちなみに、捨ててはいけない科目・捨て科目の選び方については、以下の記事で詳しくまとめています。
民法の重要性を理解していただくために、まずは各公務員試験の出題数から見ていきましょう。
民法の出題数【各公務員試験】
民法の主な試験種別出題数は以下の通りです。
- 国家一般:10問(選択)
- 国税:10問(選択)
- 財務:5問(必須)
- 裁判所:10問(必須)
- 特別区:10問(必須)
- 都庁:記述試験にて出題(選択)
- 地方上級全国型:4問(必須)
- 地方上級関東型:6問(選択)
- 地方上級中部北陸型:7問(選択)
- 市役所:4問前後(自治体によって異なる)
最低でも4問、多いところでは10問ということで、非常に出題数が多い科目ですね。
これを踏まえて、民法を捨てるのはなぜ避けた方が良いのか・絶対に捨ててはいけないのかという点を解説していこうと思います。
民法を捨てるのは基本的にナシ
基本的に民法を捨てても良いのは、都庁専願の方のみです。
都庁専願であれば、専門は記述試験のみですし、選択科目の中で、民法を記述のためだけに勉強するにはコストパフォーマンスが悪いです。
それ以外の方には、公務員試験で民法を捨てるのはおすすめしません。
まあ強いて言えば、以下の方は捨てる選択肢もなくはありません。
- 民法を勉強してみたがどうしても苦手 かつ 他の科目で得点できる自信がある方
ただ、こういった民法に強い苦手意識がある方も、この記事を読んでもう一度勉強してみて頂きたいです。
きっと、苦手意識は薄れていくはずですから。
なぜここまで「捨てないで」と言うのか。
合格体験記などで「民法を捨てて合格しました」という方を見たことはあるでしょう。
一発勝負である公務員試験においてここまで大きなメイン科目を捨てると、どうしても安定感という面では劣るようになってしまいます。
例えば、国家一般では以下のように、民法は全体を安定させるための要ともいえる科目なんです。
国家一般では民法を捨てると、多くの場合はミクロ・マクロや学系を選択科目として準備する必要があるでしょう。
しかし、年にもよりますが、国家一般ではミクロ・マクロは少なくともどちらかが難しい場合が多いです。
学系に至っては地雷科目なんて呼ばれることもあり、難易度の波が非常に激しい科目です。
そういった時に、国家一般の選択科目の中でも難易度は比較的安定しているといわれている民法を選択できないのは痛いです。
それに、専門科目に傾斜がかかる国家系の試験では、専門でこけた分を教養でカバーすることは非常に難しいですよ。
また、国家一般だけではありません。
多くの方が受験する特別区では傾斜こそないものの、民法は10問出題されるうえ基本的な問題が多く、勉強さえしてれば得点源になります。
少し脅かしてしまいましたが、以上のように、民法は「出題数が多い」だけでなく、科目としての難易度が高い分、公務員試験での難易度は安定してる科目なんです。
人生がかかった公務員試験で、博打はしたくないですよね?
民法の勉強法【いつから始める?】
民法を捨てるのは避けたほうがいいことがわかって頂けたでしょうか?
しかし「捨てたくないけど、難しいから仕方なく捨てる」という方もいるでしょう。
大丈夫です。
まずは「勉強をいつから本格的に始めるべきか」という点から解説していきます。
民法の勉強はいつから始めるべき?
ここでは、出来る限り短期間で得点を伸ばせる勉強法や参考書を紹介しますが、それでも民法は他の科目と比べて時間のかかる科目です。
これくらいに始めれば、年内に基礎は固まると思いますので。
ただ、効率を重視するなら、数的処理などの科目よりは後に勉強を始めるのを推奨します。
理由としては記憶の残りやすさが違うからですね。こういった勉強する順番については、以下の記事で詳しくまとめていますのでご覧ください。
民法は数的や経済学と並んで、そこそこ勉強に時間がかかるメイン科目です。
メイン科目である民法を年明けに始めるのは、流石に厳しいと思います。
民法の勉強法は正文化で決まり!苦手を克服するには?
民法の勉強法は、私の他の科目の記事でも何度も紹介しているように、やはり「正文化」を使うのが一番でしょう。
「正文化を初めて聞いた」、「詳しいやり方を知りたい」という方は、以下で正文化による勉強法やメリットを紹介していますので、ご覧ください。
民法は正文化と非常に相性が良い科目です。
なぜなら、科目としての難易度は比較的高いですが、難解な問題が出てきた場合でも、「よくわからないけどとりあえず正文化でそのまま覚えてしまえばいい」からです。
もちろん理解できる所は理解した方がいいのですが、公務員試験は基本的に択一試験なので、力技で覚えてしまっても結果的に得点できればそれでいいのです。
それなら、難しいところは問題文ごとそのまま暗記してしまえばいいんです。
どうせ公務員試験は殆ど過去問と同じ問題しか出ないのですから、この勉強法で十分得点できます。
ちなみに、私は根抵当権の分野などがそうでしたが、この勉強法で、本番では8割以上正解できました。
ただ、「力技で覚えるのも数が多いと大変」という方もいますよね。
そういった方は、補助の参考書に頼りましょう。
そのために、問題集や補助の参考書のおすすめを次に紹介していきたいと思います。
民法のおすすめ参考書・問題集はこれ!
民法の勉強ではもちろん正文化を使っていくのですが、科目としての難易度は高いので、補助の参考書を手元において正文化を進めた方が、学習がはかどるかと思います。
個人的に、民法の補助の参考書はこれしかないと思っているので、それを紹介していきますね。
また、問題集も「思考停止でスー過去」ではなく、各公務員試験や進行状況別に紹介しますので、是非自分に合ったものを選んでください。
正文化の補助のおすすめ参考書
民法の参考書は数多くあり、おすすめできるものも複数あります。
中でも1番のおすすめ参考書をここでは紹介します。
補助の参考書で最もおすすめできるのは、「寺本康之の民法ザ・ベスト+」です。
この書籍も、民法初心者の方もとっつきやすく、不要な内容は省いてわかりやすさを追求した参考書となってますよ。
網羅性が非常に高い参考書で、補助として使うなら間違いなく一番でしょう。
そして、民法の参考書は優れたものが多い中で、これが一番と言い切れるのは、もう一つ理由があります。
それは、YouTubeでこの参考書を使った講義が見られるためです。
全部見ると時間がかかってしまいますが、難解な部分・苦手な部分に絞って見たり、息抜きに見れば、普段の勉強とは異なる視覚情報や聴覚情報で、簡単に理解できてしまったりします。
寺本先生の講義は公務員試験の中でもトップクラスにわかりやすいですからね。
それが無料で受けられるのは非常に大きいです。
国家一般,国税のおすすめ参考書・問題集
続いて、受験する公務員試験別に、参考書(問題集)を紹介していきます。
結論だけ簡単に述べていきますね。
やはり問題の選定の質・十分な分量で、民法においてもこの参考書は非常に優れています。
国家系の民法はそこそこ難しい問題も出ますし、専門試験の配点が高いんですよね。
そのため、スー過去のレベルまでやるのが間違いなくベストでしょう。
特別区,地方上級のおすすめ参考書・問題集
次に、地方上級や特別区が第一志望の方に関してですが、こちらも「スー過去」までやっておいた方が安心ではあります。
ただ、地方上級・特別区・市役所志望で時間の余裕がない方は、以下の問題集も視野に入ります。
基本的な部分のみを固めるのであれば、最もおすすめの問題集といえます。
問題の分量的に不安になる方もいるかもしれませんが、正直、特別区・地方上級・市役所のレベルであれば、これをしっかり仕上げれば合格点は安定してとれます。
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まあ国家系も併願する方が殆どだと思うので、併願のことを考えると結論は「時間に余裕があればスー過去をやった方が良い」です。
ただ、国家系を受ける方でも地方公務員の志望度のほうが高い方であれば、「だからカコモン」で問題ないと思います。
民法の学説問題や家族法分野を捨てるのは?
民法では学説問題と家族法という2つのマイナー分野からの出題があります。
この2分野は勉強するか悩む方も多いでしょう。
結論から言えば、
- 学説問題は国家一般志望の人のみ、学習推奨
- 家族法は受験先にかかわらず、学習推奨
以上の通りです。詳しく説明していきますね。
学説問題は国家一般志望の方はやっておこう
民法には学説問題があります。
とはいっても、国家一般・地方上級でたまに出る程度です。
国家一般で民法を選択するのであれば、民法はこれくらい力を入れて勉強しておくのが無難ですからね。
また、学説問題は地方上級でも出ることがありますが、地方上級志望の方は捨てて良いでしょう。
以下の憲法の記事では、「学説問題は国家一般・地方上級志望の方はやった方が良い」と言いましたが、民法の学説は、憲法よりも出題パターンが多く、難易度が高い問題も出題されるんです。
民法の学説問題でも基本問題が出ることはあるのですが、基本問題とは言ってもスー過去などに載っていないパターンの問題が出ることも多々あります。
スー過去に載ってるのと同じパターンで、かつ難易度が低い問題なら得点できますが、地方上級では中々出題されませんし、国家一般と違って傾斜もないですからね。
また、地方上級は全国型以外は問題単位で選択できるところが殆どなので、選択しなければ良いのです。
「もし出題されたときに他の受験生と差をつけたい」ということであればやってもかまいませんが、時間と相談したうえでやってくださいね。
家族法は時間に余裕があればやっておこう
次に家族法ですが、これは多くの試験種で「年によっては1問出題される」くらいの出題頻度です。
この分野に関しては、簡単な問題から難しい問題まで様々な出題があります。
なのでやらなくても結構なんですが、学説問題とは違って、範囲は狭く、出る年は複数の試験種で出ることもあります。
そのため、基本的な部分だけさらっておくというのがベストでしょう。
もちろん家族法の難しい問題は捨てて結構です。
「レアな分野の中でもレアな難易度の問題」なんてやるだけ時間の無駄ですので。
民法改正の影響と対策
少し前ですが、平成29~30年に民法を改正する法律が成立しました。
その内容としては、時事のテキストなどに詳しく書いてあると思うので、ここでは簡潔に申し上げますが、以下の通りです。
- 消滅時効の見直し
- 法定利率の見直し
- 保証の見直し
- 約款の規定の新設
またこれだけでなく、相続法の改正も平成30年に行われ、同様に新たな制度の新設や見直しが行われています。
ですがそれについては、時事の参考書でしっかり取り扱ってくれているので大丈夫です。
続いて専門試験の民法での出題ですが、債権法も相続法も令和2年度の4月にはほとんど全ての規定が施行されます。
そのため、2020年度の試験以降は、民法の改正部分が出題される可能性があるということです。
唯一気を付けてほしいことがあるとすれば、改正に対応するために「民法の参考書・問題集は最新のものを買いましょう」ということくらいです。
基本的には、受験生の皆さんは「試験範囲がどうなるのか」といったことは気にしなくてよくて、それは出版社さんの仕事なので、任せておくべきなんです。
ようするに、参考書や問題集の中で、改正後の最新の知識が掲載されるはずで、それを学習するだけで十分なんです。
簡単ですよね?
受験生の皆さんは、最新の参考書・問題集を買い、その中で触れらている改正の知識のみを学習すればいいのですから。
民法のおすすめ参考書・勉強法まとめ
- 合格点を安定してとるためにも民法は捨てないようにしよう!
- 民法の勉強法は「正文化」を使い、遅くても年内には学習を始めるようにしよう!
- 問題集は人によって使い分け、補助の参考書は「ザ・ベスト+」を使って、効率を最大限に上げていこう!
- 改正民法に関して気を付けるべきことは、実は「最新の問題集を買う」ことだけ!
民法は公務員試験のメイン科目でもあり、多くの受験生を悩ませる重い科目ですよね。
私も勉強法や参考書が固まるまでは、中々点数が伸びず苦労した覚えがあります。
科目としての難易度は高いけれども、問題の難易度は高くないのが民法です。
そのため、一度仕上げてしまえば、各試験種で得点源になります。
難解な部分は、補助の参考書の力を借りたり、力技で乗り切ることで、出来る限り最短最速で民法を仕上げてしまいましょう!
この記事が、当時の私のように民法の勉強で悩む受験生のお役に立てれば幸いです。
以下の参考書・問題集は公務員試験の民法で特におすすめで、私も実際に使用して上位合格できたので、是非試してみてください。
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このサイトでは他にも、公務員試験で複数上位合格した現役講師の私が、筆記・面接・論文について解説しています。 公務員試験に必要な情報は全てここに詰まってるので、是非見ていってください。