公務員ラボへようこそ。
多くの公務員試験に最終合格した現役講師の私が、国税専門官の合格に必要なことを全て書きます。
第一志望の方はもちろん、併願の方もこの記事を読んで実践すれば、間違いなく合格に一歩近づくと思うので、是非最後までお付き合いくださいね。
目次
国税専門官の出題科目・難易度・ボーダー・倍率
他の公務員試験でも重要なことですが、まずは国税専門官の試験の特徴を知るところから始めましょう。
出題数などの単純なデータだけでなく、科目別難易度・他の公務員試験と比べた総合的な難易度・ボーダーといった国税の試験の特徴を、私の主観を交えて紹介していきます。
ちなみに主観とは言っても、私の受験生時代の経験及びチューター・講師をする中での予備校生の意見から導き出したものです。
国税専門官の科目別難易度・出題数【教養試験】
科目 | 出題数 | 重要度 | 難易度 | 内訳 |
文章理解 | 11 | ◎ | やや難 | 現代文:6 英語:5 |
数的処理 | 16 | ◎ | やや難 | 数的:5 判断:8 資料:3 |
人文科学 | 4 | △ | やや易 | 日本史:1 世界史:1 地理:1 思想:1 |
社会科学 | 3 | 〇 | 普通 | 政治:1 経済:1 社会:1 |
自然科学 | 3 | △ | やや易 | 化学:1 物理:1 生物:1 |
時事 | 3 | 〇 | 普通 | ー |
合計 | 40 (必須回答) |
ー | 普通 |
ー |
国税専門官の科目別難易度・出題数【専門試験】
赤字は必須科目・それ以外は9科目中4科目を選ぶ選択科目です。
科目 | 出題数 | 重要度 | 難易度 | 内訳 |
民法 | 6 | ◎ | 普通 | ー |
商法 | 2 | △ | やや易 | ー |
会計学 | 8 | 〇 | 易 | ー |
憲法・行政法 | 6 | ◎ | 普通 | 憲法:3 行政法:3 |
経済学 | 6 | ◎ | 普通 | ミクロ:2 マクロ:2 経済事情:2 |
財政学 | 6 | 〇 | やや易 | ー |
経営学 | 6 | 〇 | 易 | ー |
政治学 社会学 社会事情 |
6 | 〇 | やや易 | 政治学:3 社会学:2 社会事情:1 |
英語 | 6 | △ | やや難 | ー |
商業英語 | 6 | × | 難 | ー |
情報数学 | 6 | × | 不明 | ー |
情報工学 | 6 | × | 不明 | ー |
合計 | 70 | ー | 普通 | ー |
※専門記述に関しては後述します。
国税専門官のボーダー・倍率
国税専門官のボーダーと倍率は以下の通りです。
- ボーダー:5割5分前後
- 倍率:4倍前後
もちろん年によって異なりますが、例年これくらいの値で推移しています。
教養・専門ともに5割5分の人は、合格できるかは年によります。
しかし、教養5割・専門6割で落ちている人は、見たことがありません。
なので、教養5割・専門6割以上をとることを目標にするといいと言われています。。
国税専門官の難易度
ここまでのことから、国税専門官の難易度は他の公務員試験と比較して、どちらかといえば低めといったところでしょう。
理由は以下の通りです。
- 会計学や商法、専門記述があるが、併願の人は最悪勉強しなくても合格は一応可能
- 逆に第一志望の人は、会計学や商法、専門記述を勉強することで差をつけられる
- 問題の難易度は普通だが、ボーダーは低め
- 採用数が多いため、筆記・面接ともに、倍率が低い
以上の理由から、他の公務員試験と比較してこの難易度としました。
目安として難易度を書きましたが、そもそも出題科目も試験方式も違う他の公務員試験と、純粋な比較なんてできないですしね。
ただ、正しく努力すれば結果に結びつきやすい試験というのは間違いないので、第一志望の方も、併願の方もそれぞれに合った勉強をして、合格を勝ち取りましょう。
国税専門官の勉強法【教養】
国税専門官の教養試験の勉強法について紹介していきます。
ただ、国税の教養は、専門と違って特筆すべき傾向は少ないので、それぞれ基本的な勉強法を実践していけば自ずと結果は出てくるでしょう。
公務員試験の教養科目ごとに、効率的な勉強法を以下で紹介していますので、得点を伸ばしたい科目だけでも読んでみてくださいね。
では、科目ごとの勉強法は上記の通りなので、国税の教養試験で戦略面において気を付けるべき点を、軽く解説していきます。
国税の教養は極論、少し手を抜くのもOK
「手を抜いて合格できるわけがない!」と思われた方もいるでしょう。
ただ、ここで言う「手を抜く」というのは、最低限の勉強で済ませて、専門択一・記述に時間を割きましょうということなんです。
具体的には、教養5割・専門6割を目指しましょう。
以下の国家一般職の勉強法の記事でも、「専門に2倍の傾斜がかかるから、教養は手を抜くべき」と書きました。
ここで、「国税は傾斜が1.5倍だから、2倍の国家一般よりは教養の重要性が高い」と思っている方も多いでしょう。
国家一般 教養:専門=1:2
国家一般の教養のウェイトは3分の1に対して、国税は7分の2です。
同じどころか、国家一般のほうが教養の重要性は高くなっていますね。
以上のことから、国税の教養は適度に手を抜きましょう。
一般知能はある程度仕上げておこう
国税では40問中27問を一般知能(数的・文章)が占めています。
そのうえ、一般知能の中でも英語・数的推理・判断推理は割と難しい問題も出題されます。
なので、教養は手を抜いていいといったばかりですが、時間があればこの3科目はそこそこやっておいたほうがいいでしょう。
以下の記事では、英語が苦手な人専用の勉強法を紹介していますので、参考にしてください。
一般知識は効率重視で最低限の勉強をしよう!
一般知識は、それぞれ1問ずつしか出題されません。
一般知能と違って、難易度は高くないので、勉強すれば割と得点は出来るんですが、そこそこ時間がかかる科目も多いので、1問のために時間を割きすぎるのも得策じゃないですよね。
なので、思い切って捨てましょう。
一般知識の中から、3科目程度は捨てても何の問題もありません。
どの科目も1科目しか出題されないので、捨て科目の選び方が難しいと思います。
そんな方は、以下の記事を参考に捨て科目を決めてください。科目を捨てることのメリットも解説しています。
また、科目単位で捨てるだけでなく、分野単位でも捨てることで、効率を更に高められます。
「スー過去」などの過去問集を参考に、国税で頻出とされていない分野は捨ててしまいましょう。
国税専門官の勉強法【専門択一】
続いて、専門択一の勉強法に入っていきます。
こちらも科目ごとの勉強法は別記事で詳しく解説していますので、公務員試験の中でも国税の専門択一に特化した戦略を解説しますね。
会計学と商法は勉強すべき?
会計学と商法は、他の公務員試験でほぼ使えない科目なので、勉強するか悩む人も多いと思います。
結論を言います。
以下に当てはまる人は時間に余裕があれば勉強しましょう。
- 会計学→国税の志望度がある程度高い人
- 商法→国税が第一志望の人
これに当てはまらない人は、基本的には勉強しなくていいです。
時間に余裕があっても、他の科目を仕上げることに注力するのも良いでしょう。
もちろん勉強した人のほうが合格率は高いですが、他に志望度が高い公務員試験がある人が取り組むほど優先順位は高くないです。
特に商法は、2問しか出ないですしね。
ただ、実はどちらもあまり難しい問題は出題されないんです。
これ、国税が第一志望or志望度が高い人にとってはチャンスですよね?
選択科目はどれを選ぶべき?
専門択一の選択科目は、9科目中4科目の選択になっています。
そこで、まず国税を受ける人のテンプレートと言える選択科目を紹介していきます。
- 憲法・行政法
- 経済学
- 財政学
- 経営学
- 政治学・社会学・社会事情
この5科目を準備する人が多いです。
体感では6割程度でしょうか。
まあ、この5科目は他の試験でも併用できますし、難易度も安定しているので個人的にもおすすめです。
ちなみに、3割くらいは以下の受験生が占めています。
「上記の5科目から学系のいずれかを1つ減らした4科目+英語を保険科目として準備する」
これもアリだと思います。
やはり、基本的には5科目準備しておくのは必須だと思いますね。
「英語はどれくらいの難易度なのか・自分にも選択できるのか」気になる方もいると思います。
国税専門官の英語は、国家一般の英語基礎とちょうど同じくらいの難易度だと感じました。
なので、国家一般の英語基礎が選択できるレベルなら大丈夫でしょう。
それについては以下の記事で目安を提示しています。
ちなみに、商業英語は一般的な英語力というより、専門的な英単語や表現を知っているかが試されるので、基本的に選択は推奨しません。
国税専門官の勉強法【専門記述】
国税専門官の専門記述では、以下の5科目から1科目を選択することになります。
- 憲法
- 民法
- 経済学
- 社会学
- 会計学
そして国税では、憲法・経済学・会計学のいずれかから選ぶことがおすすめです。
その理由と専門記述の勉強法に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、よかったらご覧ください。
ここでは、この3科目の国税における対策について掘り下げていきます。
会計学
択一で会計学を勉強した人は、専門記述でも選択しない手はないと思います。
なぜなら、基本レベルの問題が多いうえ、出題パターンがある程度決まっているからです。
15論点程学習すれば、十分得点できてしまいます。
択一で会計学を勉強していればコスパ最高の科目になりますので、是非そのアドバンテージを活かしてください。
憲法
会計学を勉強していない人には、個人的に経済学よりも憲法のほうがおすすめです。
憲法に関して、国税では難易度の高い問題が出題されることもありましたが、近年は標準的な問題の出題が多くなっています。
数年前までは経済学をおすすめしてましたが、最新の傾向を踏まえると、他の公務員試験でも使いやすい憲法がおすすめです。
ただ、憲法は覚えるべき論点が多いというデメリットがあります。
経済学
経済学は数年前まで、国税では基本問題しか出題されない科目でした。
ただ、近年は「生産関数」や「サンクコスト」、「国際金融」などに関するかなり難易度の高い問題も出題されています。
他の公務員試験でも憲法の方がメジャーなことから、憲法が個人的にはおすすめとしてます。
ただ、覚えるべき論点が多くないこと、グラフを書ければある程度得点がもらえるといったメリットもあるので、得意な人はこちらを選んでも問題ありません。
国税専門官の問題集はこれ【重要】
国税専門官を受験する方は「国家専門職 過去問500」をやっておきましょう。
有名な問題集ですが、「過去問500」はスー過去などと違って「一つの受験先に特化した対策」ができる問題集です。
「過去問500」をやるメリットは2つです。
- 最新の出題傾向を把握
- 似た問題が出た時に確実に得点
スー過去などは「全ての公務員試験に対応できる問題集」なのですが、国税の筆記試験に特化した対策ができるかと言うと、Noです。
国税で出題された問題は、似たパターンの問題がもう一度出ることも多いので、やっておくとかなり得点が安定しますよ。
少し値が張りますが、国家一般職などと違って、教養と専門が一つになってるので、コスパ◎です。
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国税専門官の難易度・勉強法まとめ
- 国税の教養試験は手を抜いて、専門に力を入れよう!
- 専門択一はテンプレ―トを参考に、5科目準備しよう!
- 専門記述は、会計学・憲法・経済学の中から自分に合った科目を選ぼう!
さて、この記事の冒頭で、国税専門官は難易度で言うと「どちらかというと易しめ」くらいと言いましたね。
その理由としては、やはり公務員試験の中でもボーダーや倍率が低めで、商法や会計学を捨てても合格は(厳しくなるが)一応狙えるというのがあります。
ただ、第一志望の人にとっても、会計学や商法を勉強することで、周りに差をつけることができるようになるので、努力が報われやすい試験でもあります。
そういった意味で、難易度を低めに設定しました。
でも、別の方向に難しい部分はあるんですよね。
正直、国家一般とか特別区といった他の公務員試験は、勉強量でごり押してもなんとかなったりします。
それが国税に関しては、マイナー科目が出題されたり、専門記述があったりと、オーソドックスな試験とは違うので、勉強方針の立て方で差がつく試験なんです。
なので、この記事を参考に効率的な学習を意識して、他の受験生に差をつけてください!
この記事が、国税専門官の勉強法で悩む皆様のお役に立てれば幸いです。
以下の参考書・問題集は国税専門官の受験に特におすすめで、私も実際に使用していたので、是非試してみてください。
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このサイトでは他にも、公務員試験で複数上位合格した現役講師の私が、筆記・面接・論文について解説しています。
公務員試験に必要な情報は全てここに詰まってるので、是非見ていってください。