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特別区の筆記試験は、公務員試験の中でも実は特徴的で、特別区に特化した対策をすることで、安定して得点できます。
どの公務員試験でも重要な、ボーダーや難易度、配点や内容をまず正確に把握したうえで、私が実践した、特別区の筆記試験対策について解説していきます。
ということで今回は、LEC模試で全国2位をとり、特別区などに上位で合格した私が、特別区の筆記試験対策を「全て」解説していきます。
目次
【公務員試験】特別区の筆記試験の倍率
まず、特別区の筆記試験対策をするにあたって、倍率や難易度、出題内容などを知っておきましょう。
特別区に関わらず、倍率・難易度・出題内容は、公務員試験を受けるにあたって知っておくべき重要な情報ですからね。
では、倍率から解説していきますね。
特別区筆記試験の倍率はあまり高くない?
まず、特別区の筆記の倍率ですが、近年は2倍前後で推移しています。
ちなみに、筆記だけでなく面接まで含めると5倍前後です。
この倍率は、筆記・面接ともに他の公務員試験と比べても、高くも低くもない標準的な値と言えます。
筆記だけで3人に2人も落ちると聞くと難しく感じるかもしれませんが、安心してください。
更に試験日程が早いこともあり、学習が不十分な状態で受ける方も多いんです。
以上のことから、見かけの倍率よりも受かりやすい公務員試験であることがわかりますね。
特別区の筆記試験の出題科目・難易度
続いて、出題科目・難易度について、教養と専門に分けて解説していきます。
近年、特別区の教養は難化傾向にあるのですが、それでも国家一般などに比べると易しめな印象ですね。
特別区の筆記試験:出題科目は多いが、難易度は基礎~標準
特別区の出題科目は、他の試験よりも多くなっています。
ただ、だからといって勉強が他の試験よりも大変かというと、必ずしもそんなことはありません。
なぜなら、教養・専門ともに問題自体の難易度は低めだからです。
以下で詳しい出題科目と難易度を紹介していきます。
特別区の教養試験の出題科目・難易度
①知能分野(28問必須回答)
- 文章理解 9問
- 数的処理 7問
- 判断推理 4問
- 資料解釈 4問
- 空間把握 4問
②知識分野(20問中12問選択回答)
- 人文科学 4問
- 社会科学 4問
- 自然科学 8問
- 社会事情 4問
教養の科目別出題数はこんな感じです。
また、基礎~標準問題までの出題が多いので、難易度としてはやや低めと言えるでしょう。
ただ、令和3年現在、近年の特別区の教養試験は、難化傾向にあります。
基礎問題の出題が減って、標準レベルの問題の出題が多くなりました。
応用問題の出題もありますね。
それでも、やるべきことは変わらず、基礎~標準レベルの問題を確実に取れるようにしましょう。

特別区の専門試験の出題科目・難易度
専門は、以下の11科目が5問ずつ、合計55問出題され、その中で40問を選択する形です。
- 憲法
- 行政法
- 民法Ⅰ(総則・物権)
- 民法Ⅱ(債権・親族・相続)
- ミクロ経済学
- マクロ経済学
- 財政学
- 経営学
- 政治学
- 行政学
- 社会学
専門の科目別出題数はこんな感じです。かなり多いですね・・・
また、国家一般では学系が難しい科目とされていますが、特別区ではそういった「科目ごとの難易度の差」はほぼないと思っていいです。
総合的に判断すると、「特別区は科目の数が多いだけで、倍率や難易度は他の公務員試験と比べて高くはない」といえるでしょう。
特別区の筆記試験(教養・専門)の配点
特別区部の筆記試験の配点について、確実にわかる部分は教養試験:専門試験=1:1になります。
論文の配点は明かされておらず、不明なのですが、ある程度私の中では確信があるので、それについても解説していきます。
特別区の筆記試験の配点【教養:専門:論文】
論文試験の配点についてはいろいろ言われていますが、教養:専門:論文=1:1:3と思ってください。
詳しい説明は省きますが、過去に多くの受験生を見てきて、その受験生の得点と合否データから、ほぼこれで間違いないです。
ちなみに、某公務員試験予備校も同じ数値で予測してます。
では、ここからは具体的な対策を解説していきたいと思います。
特別区の筆記試験対策のポイント【教養・専門】
ここまでで解説したように、特別区では基礎~標準レベルの問題が、多くの科目から出題されます。
このことから、特別区の筆記試験対策の結論としては「他の公務員試験より広く浅く勉強」が重要と言えます。
もう少しわかりやすく言うと、「捨て科目を少なくし、できるだけ多くの科目を基礎だけでも勉強する」ということになります。
ちなみに、教養・専門ともに捨て科目は「少なくする」ことが重要ですが、多少は作ってOKです。
公務員試験の捨て科目について、以下で詳しく解説してますので、よかったらご覧ください。
ここからは、特別区における捨て科目も含め、教養・専門それぞれ特別区に焦点を当てた対策法を紹介していきます。
特別区の教養試験対策と捨て科目
教養試験では、やはり出題数の多い自然科学は基礎だけでもやりつつ、出題が少ない人文科学は手を抜いていきましょう。
では、教養のほうは科目ごとに対策法を紹介していきましょう。
数的処理・判断推理
この2科目に関しては、頻出かつ基本的な問題しか出ません。
以下の記事で紹介している「パターン暗記」という対策法で学習していけば、苦手な方でも確実な得点源になると思います。
ちなみに特別区に限り、どうしても時間がない方は、スー過去の難易度の星1つの問題だけ学習しても合格点はとれます。
そして、1点だけ注意すべき点があります。
暗号問題に関しては、基本的に難易度は低めですが、年によっては難しい問題も出題されています。
ただ、難しく考える必要はありません。
他の分野と同じく、対策は「パターン暗記」でOKですから。
特に、暗号に関しては頻出パターンは少ないので、そのパターンを暗記してしまえばそこそこ得点できます。
例によって、難しい問題が出たらみんなできないのでスルーでOKです。
資料解釈・空間把握
まず、資料解釈に関しては、以下の記事で紹介しているように「畑中敦子の資料解釈の最前線!」で対策可能です。
資料解釈に関しては、これだけでも十分です。
次に空間把握に関してですが、上記の空間把握と資料解釈の記事で紹介したように、科目自体は難しく、受験生の正答率も低い科目です。
上記の記事を参考に勉強しつつ、特に頻出である「軌跡」の分野に力を入れてやっておけば問題ないでしょう。
「軌跡」の問題は毎年のように出題されていますからね。
文章理解
文章理解は特に傾向もなく、基本的な問題が出題されます。
強いて言えば、「文章が短い」ことが特徴ですかね。
まあだからといって解き方が変わるわけではありませんが。
文章理解が得意な方は問題ないと思いますが、それ以外の方は以下を参考にしてみてください。
安定して得点できるようになるはずです。
人文科学
人文科学に関しては、4問(日本史・世界史・地理・思想1問ずつ)とかなり出題数が少なくなってます。
人文科学はかなり範囲が広く、各1問しか出題されないのは労力に見合いません。
特別区では人文科学は選択科目ですので、選ばなければいい話ですしね。
ちなみに、思想はコストパフォーマンスが高いので、基本的に捨てはあり得ません。
捨て科目の選び方に関しては捨て科目の記事でも紹介しましたが、特別区の人文科学に関しては以下の通りです。
日本史・世界史・地理のうち、1科目は捨てましょう。
暗記科目が苦手な方は2科目捨てても全然問題ありません。
捨てる科目は、「高校時代に選択していたかどうか」を基準に決めてください。
それでも決められない方は、人文科学の捨て科目を決める際、各科目の特徴を解説したこの記事を参考にしてください。
社会科学
特別区の社会科学に関しては、なんの特徴もありません。笑
難易度は低いので、専門の勉強で代用することもできなくはないですが、あまりおすすめはしません。
安定して得点源にしていきたい科目なので、社会科学は社会科学で勉強しておいたほうがいいでしょう。
社会事情(時事)
時事に関しては、他の試験と同じ対策でも一応は構いません。
なので特別区に特化した対策ができるとベストです。
以下で紹介している「東京都・特別区のパーフェクト時事」という参考書を使うとより効率がいいでしょう。
自然科学
特別区は、公務員試験の中でもトップクラスで、自然科学の出題数が多いです。
苦手な方が多いこの科目ですが、出来れば4科目ともやっておきたいですね。
ただ、「自然科学でどうしても苦手な科目があって、時間の余裕もない」方は1科目くらい捨てても全然合格点は取れますので、安心してくださいね。
特別区のレベルなら、苦手な方でも頻出分野の基礎を固めておけば、得点できる可能性は十分あります。
私も完全に文系脳だったのですが、自然科学は最終的に得点源にすることができました。
頻出分野と、苦手な方向けの対策法を以下に解説しているので、ぜひぜひご覧ください。
特別区の専門試験対策とおすすめ選択科目
教養試験について、科目ごとにがっつり解説してきました。

「選択科目の選び方」と、「特筆すべき傾向がある科目」について解説していきます。
選択科目の選び方
特別区の選択科目を選ぶ基準は、以下の通りです。
- まず、11科目中最低9科目は勉強する
- 他に志望度が高い試験があれば、その試験との兼ね合いで選ぶ
- 迷ったら、学習に時間がかかりそうな、苦手な科目を捨てる
特別区の鉄則は「広く浅く」なので、11科目中、9~11科目を勉強する場合が多いです。
選択科目を選ぶというよりは捨て科目を選ぶ形になりますね。
ちなみに、国家一般の選択科目を選ぶ際なんかは、科目ごとの難易度も考慮しますが、特別区では気にしなくていいです。
特別区では各科目の難易度がしっかり均一になっているためです。
もちろん年によって多少難しい科目はありますが、平均するとほぼ同じくらいの難易度になるんです。
特別区では「他の受験先」や「得意or苦手」といった、自分の事情のみで選択科目を決められるので、考えることが少なくて楽ですね。
ちなみに、特別区受験生がよく捨てる科目は、経営学・財政学・社会学です。
各専門科目の対策
やはり特別区の専門科目は特徴がないので、特別変わった勉強をする必要はありません。
意識すべきことは、やはり1つだけです。
ミクロ・マクロ経済学は以下の記事にあるようにパターン暗記を活用し、効率的に攻略しましょう。
他の科目は全部暗記で対応できる科目です。
基本的には「正文化」で対応すれば、安定して得点できるようになりますので、簡単ですね。
「用益物権」という、他の試験ではあまり出題されない分野の問題が出題されます。
特別区の筆記試験対策に必須の問題集
特別区の筆記試験対策に強くおすすめしたいのが、「公務員試験 特別区 過去問500」です。
私も実際に使用していましたし、上位合格できたのはこのおかげだと思ってます。
簡単に解説していきますね。
特別区の筆記試験に特化した対策ができる
過去問500は、「公務員試験全体の対策」をするスー過去などと違って「一つの受験先に特化した対策」ができる問題集です。
「過去問500」をやるメリットは2つです。
- 最新の出題傾向を把握
- 似た問題が出た時に確実に得点
スー過去などは「全ての公務員試験に対応できる問題集」なのですが、特別区の筆記試験に特化した対策ができるかと言うと、Noです。

特別区で出題された問題は、似たパターンの問題がもう一度出ることも多いので、やっておくとかなり得点が安定しますよ。
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特別区の筆記試験対策(ボーダー,配点,難易度)まとめ
- 特別区の出題科目は多いが、難易度や倍率はそれほど高くない!
- 【広く浅く】を徹底し、基礎を固めれば合格は目の前!
- 正文化とパターン暗記を使い、効率よく学習しよう!
今回は、特別区の筆記試験に関して、私が必要だと思ったことを全て書きました。
何度も言いましたが、最も大事なのは【広く浅く】を徹底して勉強すること、これだけです。
特別区は「試験日までに勉強が終わらなかった」という人が多い印象です。
しっかりとスケジュールを立て、学習を進めていけばそうはならないんですが、試験日が早いこともあり、毎年そんな受験生も多いようです。
ただ、これって逆にチャンスじゃないですか?
科目数が多く難易度は低めな特徴から、特別区では「勉強ができるか」よりも、そういった「現実的に合格できるスケジュールを立て、必要に応じて軌道修正していく能力」が必要とされる試験です。
自分で言うのもなんですが、この記事が特別区の筆記試験攻略の【完全版】になるかと思いますので、あなたがスケジュールや勉強法を決める際に、助けになるかと思いますよ。
特別区は公務員試験の中でも難しい方ではないので、正しい方向に努力すれば合格できます。
是非、特別区の筆記試験対策に迷ったときはこの記事に立ち返って、参考にしながら、合格を勝ち取ってくださいね!
この記事が特別区の筆記試験対策で悩む皆様のお役に立てれば幸いです。
以下の問題集は特別区の受験に特におすすめで、私も実際に使用して上位合格できたので、是非試してみてください。
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このサイトでは他にも、公務員試験で複数上位合格した現役講師の私が、筆記・面接・論文について解説しています。
公務員試験に必要な情報は全てここに詰まってるので、是非見ていってください。